コンピューターと対戦する


ボードを見ないで頭の中のイメージでコンピューターと対戦する時がやってきました。
もちろん誰かと2人で対戦することも可能ですが、トレーニングとしてはコンピューターと対戦することを行います。

ボードを見ないでどうやってコンピューターと対戦するのかというと、Arena という無料のチェスソフトがあり、駒を動かすのにキーボード入力でできるため、棋譜は見ることにはなりますが、ボードを見ずにゲームを行うことが可能です。

まずは Arena をダウンロードしてパソコンにインストールし、各種設定を行い Arena をパソコンで使えるようにする手間がかかりますが、今のところキーボード入力で駒を動かしてコンピューターと対戦できるチェスソフトを他に知りません。もし他にキーボード入力で駒を動かすことができるチェスソフトがありましたら教えていただければ幸いです。

さて、別のサイトになりますが下記リンク先から記事をご覧になり Arena をパソコンにダウンロードしてインストールし、各種設定を行なってください。

Arena 3.0 ダウンロード~解凍手順

Arena で使用するチェスエンジンは Rybka を使用します。リンク先の記事では Critter というチェスエンジンを使うことを説明してますが、Rybka だとチェスエンジンの強さを Elo Rating で調整できるため、ボードを見ないでコンピューターと対戦するのに適してます。

リンク先の記事の続きの記事にチェスエンジン変更方法が記載されていますから、チェスエンジンを Rybka に変更してください。

Arena を使える状態になりましたら以下をご覧になってください。


Arena を使ってコンピューターと対戦する

① Arena を起動させてください。

Arena 3.0 の画面


画像をクリックすると拡大されます

この状態からキーボード入力ですぐゲームを始められますが、コンピューターが強過ぎるため( 笑 )、コンピューターのレベルを設定します。

画面上段にある Levels → Limit Playing Strength to Elo をクリック ( 下図 )




Limit strength to を選択し、Rating を 1200 にして OK をクリック。

その強さのコンピューターに勝てるようになったら、Rating を 100 ずつ上げていくと良いでしょう。


チェスエンジンの思考時間 ( 1手ごとの ) も設定しておきましょう。初期設定では6秒になってます。

画面上段項目の Levels → Adjust → Adjust Leves で Mode の項目で Time per move を選択し、右側の Time per move を 1 Seconds にして左下の OK をクリックしてください。



これでコンピューターの思考時間が1秒になり、自分側の持ち時間は無制限になります。


ご参考までに他のチェスエンジンで強さを調整するには

画面上段の Engines → Manage → Details のタブをクリック

右側にある Special のタブをクリック → Strengh ( % ) で強さを調整できます。



駒を動かすためのキーボード入力について

ボードを見ないで駒を動かすために必要なキーボード入力についてご説明します。

キーボード入力をするとき、初期設定では全ての位置情報を入力しなくても、コンピューターが自動で駒を動かすことをサポートしてくれるようになってます。

例えば 1.Nf3 としたい時、nf と入力するだけで Ng1 が Nf3 に動きます。

入力の手間が省けるのでこのままでもいいですが、nf3 のように全ての位置情報を入力して駒を動かしたい場合は

画面上段項目の Options → Appearance → 左項目の Chessboard → Move Input のタブをクリック → Keyboard のところで Only evaluate complete moves を選択してから、下にある Apply をクリックしその後 OK をクリックしてください。ちなみに Auto completion の方が入力をサポートしてくれる方です。




駒の動かし方

1.e4 としたいときは e4 と入力すると駒が動きます。すなわち動かしたい駒の位置を入力すれば OK です。

駒を取る場合でも Nxe5 と入力するのではなく ne5 で OK です( nxe5 でも駒は動きます )。

キャスリングは
o-o  オー ハイフン オー
o-o-o  オー ハイフン オー ハイフン オー

と入力します。半角オーのところがゼロではダメです。


入力を間違えた場合

入力を間違えると駒が動かなくなるため、その場合はキーボードの左矢印のキーを押し続けると手順が戻りますので、1手以上手順を戻してください。その後、右矢印のキーを押して入力を間違えたところまで手順を進めます。それから再入力すれば OK です。

場合によっては、下図の確認ウィンドウが現れますので、その時は Overwrite ( 上書きする )をクリックししてください。




特定の局面からコンピューターと対戦したい時

コンピューターは同じ手を打ってくることが多いですので、自分が望むオープニングの局面から始めたい場合は、棋譜表示欄の下にある Edit をクリックし、その後マウスのドラッグで駒を動かし、希望の局面を作ります( 自分が先手となる局面にする )。

再び Edit をクリックして、キーボード入力すればコンピューターとの対戦が再開されます。

※ゲームの途中でも同じ方法でコンピューターの指し手を自分で決めることができます。


自分が黒番でコンピューターと対戦したい時

画面上段の Game をクリックし現れる Move Now! をクリックします。するとコンピューターが初手を指してきますので、その後 自分が入力していけば OK です。

白番コンピューターの初手を自分で決めたい時は、Edit をクリックしてマウスのドラッグで白駒を動かし、再度 Edit をクリックします。あとは黒番の初手をキーボード入力します。

ボードを白黒反転させるのは、画面上段の Levels の下あたりにある上下に矢印があるアイコンをクリックします。


リザイン( 投了 )したい時
画面上段の Game をクリック → Resign をクリック。


新しいゲームを始めたい場合
画面上段の File をクリック → New をクリック

下記ウィンドウが現れそれまでのゲームを保存するかきいてきますので、保存しないなら No をクリック。保存する場合は Yes をクリックし、次に現れるウィンドウでファイル名をつけ、保存先を選び、保存をクリックします。



※新しいゲームを始める場合は再度、画面上段項目の Levels → Adjust → Adjust Leves で Mode の項目で Time per move を選択し、右側の Time per move を 1 Seconds にして左下の OK をクリックする設定をしてください。



コンピューターとの対戦について

※キーボード入力で駒を動かすことに慣れるため、始めはボードを見ながらキーボード入力でゲームをしてみましょう。


ボードを見ないでコンピューターと対戦しますので、ボードのところを何かで隠し、棋譜だけを見ます。

頭の中でボードと駒の動き等をイメージするときは目をあけたまま行います。

途中で局面が分からなくなったら、棋譜を見て初手から分からなくなった局面まで頭の中で駒を動かしてみましょう。それでも局面が分からなければそこで止めましょう。
頭の中のイメージで行なっているわけですから、始めからゲームが最後までできなくても全く問題ありません。

長くても30分経過したら、ゲームの途中でもやめましょう。長時間続けると気分が悪くなったり健康に悪いです。

局面が分からなくなるまではゲームを続けましょう。30分経過したらゲームを保存して翌日以降に続きを行えば OK です。

ゲームの続きを行うまで、1日1度はそこまでの手順を脳内再生したり、脳内分析を行うと良いでしょう。

ゲーム保存の仕方は下記リンク先の記事をご覧になってください。
ゲーム・局面の保存

保存したゲームを再開する時は、再度コンピューターの思考時間を1秒にする設定が必要な場合もあるようです。画面の左下角にコンピューターの思考時間が表示されますので、それを見れば分かります。


コンピューターとの対戦後は、棋譜表示欄下の「 │< 」をクリックして Starting position に戻し、「 > 」をクリックして手順を進め、そのゲームを実際に目で見た場合との差異を調べ、改善に役立てましょう。

トレーニングでボードを見なくても頭の中でゲームができるようになったとはいえ、実際にボードを見た場合とはまだ大きな差があるでしょう。それはこれからもトレーニングを続けてさらに Visualization を高めていくことで少しづつ改善させていくことができます。

そのための継続的なトレーニングプランについては 2つ先の項目でご説明いたします。


下記は私が初めてボードを見ないでコンピューターと対戦したゲームです。

Rybka のレイティングを Elo 1200、思考時間1秒に設定。

思考時間合計
hitsujyun 約140分
コンピューター 34秒

パソコン画面の方を向いているとイメージしにくかったため、イスに座った状態でパソコンに対して横向きになり、局面を頭の中でイメージし、候補手を考えていました。




コンピューターと対戦する時は気づいたことをメモして改善に役立てることをオススメします。

下記はゲーム中に私が書いたメモです。

展開しているピースには注意を払っているが、展開してないピースのことを忘れている。
途中で初手からの手順を確認したり、 4 x 4 マスごとの駒配置を確認することが必要。
駒の配置は分かるが、良い手がなかなか浮かばない。
オープニングはセンター16マスを意識すると良さそう。
時間はかかっても安全確認することは大事。
お互いキャスリングした後、中盤からの候補手を考えるのに時間がかかる。


ゲーム後の感想
私の思考時間がかなりかかってますが、Visualization がもっと高まれば少しずつ思考時間を短くしていけると思います。駒の配置を忘れていてそこで終了となってしまったのは残念ですが、予想よりは長く続けることができました。

ボードを見ないで頭の中で局面を考えるのに、コンピューターと対戦することが非常に役立つので、定期的に続けていきたいです。

コメント

Walrus さんの投稿…
Improve your Chess Now を読んでいて、最近またVisualizationの能力が重要だと思うようになってきました。

 そこで、改めてこのサイトをひと通り拝見させていただきましたが、驚くべき徹底度ですね。感服です。 hitsujyunさんは、このサイトで掲載されているトレーニング方法はひと通り実践されたのですよね? このゲームを見て、私もhitsujyunさんにならって、このサイトのトレーニング方法を真剣に実践してみようかと思いました。

 この記事で掲載されているように最終的にはボードを見ずにコンピューターと対戦でき、ましてや勝つことができたら感動ものでしょうね。このゲームにしても、hitsujyunさんは34手目までボードのイメージを把握できているということでしょうから、すごいです。 そして、それがトレーニングによって意識的かつ事後的に培われたものであるということを考えると、いっそう素晴らしいとおもいます。

 成人による合理的なトレーニングでVisualizationの能力はどの程度高まるのかということについては非常に興味があります。ですので、これからもVisualizationのトレーニングを継続されるおつもりでしたら、是非ともその後の進捗過程も掲載していただきたい、なんて厚かましいことも思ってしまいます^^;
hitsujyun さんの投稿…
Walrus さん

コメントありがとうございます。コメントを確認してからの公開設定になっていたのに気づかず、返信が遅れてしまいました。

掲載しているトレーニング方法は全て実際に自分で行ったものです。ボツになったものや改善を加えたものもあり、今後より良い方法が思いついた場合は内容修正もあるかも知れません。

Blindfold Chess に ついての項目があるのを知って Improve your Chess Now は私も購入して読みました。Visualization を高める方法についてネットで探してみましたが、実際に役立つものは見当たらず、私にとっては脳内将棋盤の情報が1番役に立ちました。

Visualization を高めるには各駒の利きと動きのトレーニングを実際に自分の頭の中で行うのが最も早く効果が出る方法だと思います。そのトレーニングを行わず、いきなり目を閉じて頭の中でエンドゲームをやったり、棋譜を並べたりするのは、斜めの位置関係が捉えられなかったり、駒の利きや動きをイメージするのが難しいと思います。

Visualization は子供の頃からチェスをしていれば自然に高まるかもしれませんが、大人になってからボードを見なくてもゲームができるほどの Visualization を身につけるのは、普通にチェスをしているだけでは難しいと思います。

大人になってからチェスを始めた方が Visualization を高めるのに脳内チェストレーニングは効果があると思います。

この3週間ぐらいは集中的に French Defence の勉強をしていたため、脳内トレーニングも中断していましたがまた再開しました。

他の勉強の方がメインとなるため脳内チェストレーニングに多くの時間をかけるつもりはありませんが、今まで得られた効果に満足していますし( 能力的にはまだ未熟な段階です )、将来的な期待もあるのでトレーニングは継続していきます。

基礎的なエンドゲームを図を見ないで頭の中で解くのは、難しいときもありますが面白いので続けやすいです。1手メイト問題も平日1日1問やってます。

一方コンピューターとの対戦は大事なのですが、あまりやる気が起きないため現在まだ3戦目の途中です。2戦目はコンピューターのレベルを低く設定していたためか、開始早々有利を得たのですが e7 にポーンがあることに気づかず、残念ながら7手目で終了です。局面を見たら終了するようにしてます。

今はまだ未熟な Visualization ですがトレーニングを続けていけば高まっていくと思います。思考時間がかなりかかったり、見落としが多かったりしますが、ボードを見なくてもゲームはできます。

コンピューターと対戦する代わりに、ミニチュアゲームを脳内再生していく方が簡単で続けやすいのですが、ボードを見ないで頭の中で局面を考えるにはコンピューターとの対戦が最適に感じます。

トレーニングにより特別な成果を得られた場合は CHESS記の方にでも記事を書くかも知れません^^

ルークトレーニングは始めからやり方の説明がわかりづらいため、とっつきにくいと思いますが、トレーニングを続けていけば徐々に効果を実感されていくことと思います。